雲ノ平周回2日目、薬師峠キャンプ場~黒部五郎岳~三俣山荘の記録です。
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3日目後半と4日目、雲ノ平山荘~薬師沢小屋~折立はこちら

1、急登に苦しんだ黒部五郎岳

薬師峠キャンプ場でツェルトの撤収を済ませ、朝4時すぎに出発。
太郎平小屋からすぐの所にある太郎山山頂は踏む必要はないのですが、登山道脇にある手作りの看板に惹かれ寄り道することに。

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広場の奥、細い道を進んだ先に山頂標識がありました。
すっとしたケルンが印象的。いつからたってるのか、なかなかなバランス。

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そしてまるで富士山な手づくり標識も置いてありました。

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さくっと一座目を登頂し、次に目指すは北ノ俣岳。

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ハイマツ繁る登山道を登ります。
ガスってきて悲しいんだけど、直射日光だったら辛さ倍増だと思うと複雑な気分。

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そんなガスの中、ふと左を見ると雲ノ平に天使の光が差してました。
この時は素直に美しい!と思ったけど、後日、雲の平からのこの下りに泣かされるとはまだ知らない。

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山頂前はお花畑が広がり、大量のチングルマが風に揺れていました。

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ウサギギクは見頃。

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そして、ガスの日のお約束、雷鳥の親子にも会えました。

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真っ白な中、本日二座目、北ノ俣岳に到着。 

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南側は辛うじて景色が見ましたが、笠ヶ岳より東は全くわからん…。

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ここからは標高を下げていきます。
下りた分を全部登り返すと思うと、下りがすごく損した気分になる現象。

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赤木岳付近はプチガレ場となっていました。

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そしていよいよ見えてくる黒部五郎岳。

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手前のピークの右を直行するかと思いきや、中腹まで登り、左から回り込む模様。
黒部五郎岳直前まではゆるゆるだと思ってましたが中俣乗越、甘くない。

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まだ黒部五郎岳に取りついてもないのに、道中の看板は黒部五郎岳を無視して三俣蓮華を指してました。

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先ほどのピークを越えると、いよいよ黒部五郎岳登山が始まります。
登り、登り、ひたすら登り。
ガスで先が見えないので、登っても登っても新しいピークが見える…。

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山頂に近づくにつれ、名前の由来でもあるゴーロになってきました。
高原地図に「急登」とありましたが、本当にきつい登りです。

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あまりの辛さに途中から無の世界に飛んでいました。
黒部五郎の肩に到着し、すぐにザッグを放り投げる。
ツェル泊の重量に体力がついていっていません。(重さに弱い)

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山頂まではもう少しの登り。

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ついに、百名山38座目、黒部五郎岳!
景色?登ったことに意味があるって奴ですよ。


…と、自分を納得させたわけですが、この後の下山で黒部五郎岳の素晴らしさを体験することになるのでした。

2、黒部五郎岳のカールの中へ

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本日のメインイベントを終えたつもりになり、黒部五郎小舎まではカールコースで下山することに。
下り始めると、ガスが晴れ始めました。そして…

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!!!!

目の前に広がるのは巨大なカールと、その底に飛び込むような登山道。
こんなに巨大なカールがあるとは思ってなかったし、トラバースかと思ってたらご褒美やん!

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カールと山頂。名前の通り岩がゴロゴロ。
このカール、とにかく大きすぎて視界に入りきりません。

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カールのずっと先、ずいぶん下った所にひっそりと黒部五郎小舎が見えました。
景色が壮大すぎて小屋がミニチュアに見える。

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底に向けて一気に下ります。

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下ったところはちょっとした休憩スポットになってました。
下りきった気分だけど、巨大なカールなので、ゆるゆるした下りがまだまだ続きます。

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ふと、足元を見る小舎まで2時間!?高原地図だと1時間なのに…。
先に言ってしまえば、疲れきった体ではペイントの方が正しいという結果になりました。

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カールの中には巨石がいっぱい。その中でも一際目立つ巨石は雷岩。

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時期が時期なのでチングルマだらけですが、お花も豊富なのかな?

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振り返ってぐるりと見渡すカール。視界の270度以上がカールです。
何度振り返っても見とれちゃうし、圧倒されちゃう。

ただでさえ山しか見えない北アの奥地で、隔離された空間を成すカールの中は、海の底ならぬ山の底っていう感じでした。
黒部五郎岳はそのカールにより個性を発揮していると言われますが、まさにその通り、このカール歩きを通して黒部五郎岳には畏敬の念を禁じ得ないのでした。

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と、気分は完結編ですが、まだ三俣どころか、黒部五郎小舎にさえ着いていない。
すれ違う人すれ違う人、小屋まで「あと少し」と言うのですが、一向に終わらない樹林帯。
この山域の皆さんの「あと少し」は長すぎです…。

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黒部五郎小舎についた時にはもう瀕死でした。今日はここがゴールでいいじゃん…。
ちなみに黒部五郎小舎の名物は親子丼らしい。
水場(写真の真ん中の赤いポリタンク)あり。外来トイレも明るくてとても綺麗です。
…ほんと、今日の旅をここまでにしたい。

3、三俣山荘への登り返し出し

なぜこんなに先に進むのを渋るかと言えば、現在カールの底まで降りたわけで、小舎からは下りた分を上り返さねばならないからです。
昼食を食べつつ、下りてきた人から急坂であることを聞いて慄き、同じ方向へを行く人とは励まし合い、自分も覚悟を決めました。

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雨も降ってきたりして、疲れた体にはたまらない登りでした。

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苦しみつつ登った所はチングルマ畑。やったよ!登り切ったよ!

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最初の登りを終えてしまえば後は緩やか。
少し進むと三俣蓮華登頂と三俣山荘への巻き道の分岐がありました。

………

よし、巻こう!勇気ある撤退!w

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山の天気は変わりやすいもんで、急に晴れてきて、遠くに明日の宿の雲ノ平山荘が見えました。

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巻き道周辺は花が咲き乱れ、ちょっと季節が遅れている感じ。

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巻き道なのに登るのね…。

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また「あと少し」と言われ続けること数回、ついに三俣山荘を発見しました。
…だからさぁ、「あと少し」が遠いんだって!

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しかし、心が折れそうになったその瞬間、頑張ったご褒美と言わんばかりにガスが晴れ…
目の前には会いたくて会いたくて夢にまで見た鷲羽岳のお姿!ああ、明日も頑張れる…!

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そして、15時も回った頃、三俣山荘に到着したのでした。
表では甚兵衛姿の山小屋のお子さんが、慣れた様子でテン泊の受付をしていて癒されました。

さて、この日は天気が悪そうなのでツェルトは諦め小屋泊です。
日が暮れた後、急な雷雨となったので本当に小屋にしてよかった…。

4、三俣山荘で小屋泊

情熱○陸効果もあってか館内は大混雑。
写真が撮れなかったので情報だけのせときます。
・屋内自炊スペースあり。
・水は湧水利用。無料で使い放題。
・二階は食堂。名物の夕食・ジビエシチューはテン泊の方にも人気。
・この日の布団は二人で一枚。毛布は人数分で掛け布団は共有。
・トイレは和式で水が流れる。独特の臭いが強いけど清潔。ただ、かがむと目の前がペーパー入れなのがちょっと惜しい…。テン場の方と共用なので早朝は長蛇の列。
この日、連れはテン泊するというので、一人で小屋泊。
女性はなるべく集める方針みたいで、部屋の一角が単独女子スペースになってました。
単独女子の多いこと!おしゃべりを楽しませていただきました。
そして、自炊スペースも相席からの会話が活発です。
三俣山荘は様々なルートが交錯する場所にあるので、話を聞きながら、それぞれの道を行く人が偶々出会ったという感じが面白いなぁと思いました。

さて、いよいよ3日目は鷲羽岳、水晶岳。北アルプスで最も遠いとされる山々に登りに行きます。