4月。鎖に飢えて山梨の鶏冠山(とさかやま・2177m)に登ってきました。
ピンクリボンも多く踏み跡も明瞭ですがバリルート扱いで、山梨百名山の中でも厳しい山と言われています。
名前の通りぎざぎざとしたニワトリのトサカのような見た目がかっこいいですが、歩いてみてもワイルドな道のり!緊張を強いられる恐怖で楽しい山でした。

※甲州市の鶏冠山(けいかんざん)とは別の山です。

<コースタイム>
5:30西沢渓谷入り口=6:20鶏冠谷出合=8:03チンネノコル=8:39第一岩峰=10:38第三岩峰=11:36第一岩峰=14:00西沢渓谷入り口
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西沢渓谷に行った時からずっと登りたかった鶏冠山。
ニワトリのトサカのような姿がずっと印象に残っていました。(写真は晩秋の鶏冠山)
暖かくなってきた4月下旬。西沢渓谷入口の駐車場にて車中泊をし、出発です。

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入り口の狐ちゃんは整形したみたい。いってきます!

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立派なトイレを過ぎ、吊り橋を渡ったところに分岐があります。標識に従い沢に下りたら「鶏冠谷出合」の看板がある場所まで沢沿いを歩きます。
問題は鶏冠谷出合の渡渉。水量によっては飛び石が無いらしい。
寒い早朝、日の当たらない沢なので、飛び石があるのを願うばかりですが…

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はい、ざんねん!

飛び石は存在しませんでした。裸足の渡渉決定です。
靴下を脱いで岩の上に素足を置くとすでにゾッとする冷たさ。
恐る恐る沢に足を入れます。ゾゾゾ…。しかも、結構深くて膝下まで浸かります。
転ばないようにとそっと歩いていましたが、沢の中腹に差し掛かった辺りで、激痛。
自然とああああああ!!と悲鳴が漏れ、ばっしゃばっしゃ走って渡りました。
沢から出た後も言いようのない痛みでタオルでくるんで手でこすって必死に温めます。

控えめに言って地獄でした。

本日の行程がピストンであることを呪うばかりです。

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気を取り直して先に進みます。沢に沿って大きな岩の横、左の壁伝いに登ります。
水の冷たさを堪能した後なので、落ちることが怖くて体が必要以上に強張る。

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そんな緊張を和らげるように、少し登るとポカポカ日当たりの良い尾根に出ました。
岩もなく登りやすい道ですが、展望はなく結構長い登りです。

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シャクナゲのトンネル。

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だんだん道がアグレッシブになってきました。
垂直2、3m近い箇所が複数出てきます。流石入門と言えどもバリルート…。

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2時間半ぐらいでチンネノコルに着きました。標識の代わりにレキのポールが刺さってます。
いよいよ岩場も近いかとヘルメットを装着。

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狐さんに励まされて出発です!

…と思ったら岩稜までまだまだありました^^;ヘルメットを付けた意味とは…
ご褒美が遠いと愚痴りつつ、樹林帯を登ります。

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すると、いきなり岩稜が姿を現しました。
鶏冠山のグレーディングは自分初のグレードD。死なないように気合を入れていきます。

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岩稜の入り口、第一岩峰。
高度感も思ったほどじゃなく、まだ余裕。

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ただ、見下ろすとゾッとしました。これ下りの方が怖いやつだ。

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稜線に上がると左手、金峰山でしょうか?

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そして目の前には、すばらしき鶏冠の稜線!

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これから登る第二、第三岩峰が一望できます。

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峻険な稜線に、興奮と同時に落ちたらアウトと強い緊張。
もともと高所恐怖症なので、腰が引け、岩の端に行けば膝が震えるというありさまです。

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第一岩峰からの下りでさっそくビビりを発揮しつつすぐに第二岩峰。
鎖は右側に垂れてますが、同行者(先生!)は真ん中を登っていきます。
取りつきで少しの間うろうろ悩みましたが追って真ん中を登ることにしました。
(帰って調べたら右側からも登れるそうです)

第二岩峰を過ぎると稜線から少しずれたトラバース道。草木に囲まれた道を歩きます。
草木がある場所がこんなにほっとできるなんて…!
第三岩峰に行く前にはもう一つ鎖場があり、立て掛けられた倒木を足掛かりに、岩にとり付くところがありました。
草木のおかげで高度感は皆無ですが、倒木が濡れてると滑るので油断はできない。

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そしていよいよ第3岩峰。ここは鎖やロープの類がありません。先も見えないし…。
迂回路もあるのですが、今日は先生に確保してもらって挑戦!

まずは一段階。写真の岩の上に上がります。
左に回り込むと、右斜め上に向かって岩壁をつたって登れるようになっています。
動き自体は難しくありません。ただ、一度岩稜の端っこまでの行くので、自分が絶壁にいるのを思い知らされ、精神的にきつい。

2、3人ぐらいが立てる平らな場所に着いたら、お次は第3岩峰攻略の二段階目にして、鶏冠山最大の難所。

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岩壁の正面に石柱のような岩が立ってるので、まずはその上に立ちます。

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そして岩壁へ移る!
移る岩壁は垂直だし、使えそうな足場は両足の間隔が狭くて不安定だしで最恐スポット。
しかし、確保してもらえている安心感、そして今までに経験のないレベルの岩場に、恐怖心は完全にマヒして飛んでいきました。
ドキドキして、たのしー!

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岩壁に移ったところ。
下を覗く余裕があるんだからこの時は頭のねじが一本飛んでいたに違いない。

ここをクリアしたら後は簡単な岩稜です。

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ということで鶏冠山登頂!
「生きてるー!」と腹の底から笑い出したくなるような登頂でした。
興奮と緊張と達成感が入り混じった感覚が堪らなくて岩に手を出したくなりました。

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奥には富士山がこんにちは。
十分満足したし命が惜しいので、帰りは巻き道を使って戻りました。

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登ってきた第3岩峰を振り返って。
ほんと素晴らしかった!

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しかし本日はピストンなので第三は巻けても第二、第一が残ってます。
相変わらず落ちたらアウトなので気が抜けない。
ただ、アドレナリンに侵されたせいか、意外にすんなり降りれました。

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第一岩峰を降り、岩稜も終わりです。
展望も見納め。それにしても駐車場(ゴール)が遠い!

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緊張の時間が長かったからか、樹林帯に入るとどっと疲れが出ました。
ピストンで新鮮味がないし同じような景色が続くので、実時間以上に長く感じます。
本当に長い。そして、下りきってもアレがあると思うと憂鬱です。

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はい、鶏冠谷出合です。再会したくなかったよ~!
あ、でも、朝と違って太陽に照らされてて、ちょっと行けそうな気がする。

………


……………


……………ああああああああ゛!!



いやはや、逃げたくても逃げられない状況があるってことを教えてくれました。
沢を渡る以上、どれだけ耐えがたい痛みと痺れが出ても進むか戻るかしかない。
渡渉の可能性を軽々しく考えてました。ちょちょっと渡れると思ってた。標高1000m越えの春もこれからな沢に膝まで浸かるとか、冷静に考えて頭がおかしかったです。春に行かれる方は覚悟を決めていくのをお勧めします。

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駐車場に戻ってくると桜が満開でした。渡渉で疲弊した心を慰めてくれる。

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駐車場から振り返って。ありがとう鶏冠山。
ご褒美までは長いけど、とてもエキサイティングな山でした。