(縦走二日目です。一日目の立山三山縦走はこちら。)

剱岳(2999m)と言えば、槍ヶ岳と並び、登山をする人なら誰でも知っている憧れの山。
カニのタテバイ、ヨコバイといった名称付きの鎖場を始めとし、いくつもの鎖場を有するこの山は、一般登山者の登る山では危険度が最も高い山と言われるそう。

高度感が苦手な自分には無理な山だと思っていましたが、八海山の修業を通し、高度感が麻痺し始めたこの頃、ついに憧れの地へと挑戦です。


<コースタイム・2日目>
剱沢キャンプ場03:48=03:51剱澤小屋=04:12剣山荘=04:39一服剱=05:24前剱=06:50剱岳07:05=08:23前剱=09:29剣山荘=09:55剱沢キャンプ場11:00=12:19剱御前小舎=13:13浄土橋=13:57雷鳥荘=14:16みくりが池温泉=14:29室堂 (※室堂16時30分が終バスです。)


剱岳のピーク時は、鎖場が2時間待ちになるらしい…。
そんな話を聞き、何が何でも今日中に帰らなければならない自分たちは、多くのテン泊組が動き出すという4時前に出発することにしました。

早朝3時起床。なんだかんだ時間が掛かり、3時50分に剱沢キャンプ場を出発です。
緩やかな道を約20分で剣山荘に到着。ここからは、いよいよ急坂が始まります。

別山尾根は上り下り合わせて13個(なんとなく不吉な数字…)の鎖場があります。
ただ、八海山のように連続しているわけではなく分散しており、1番目鎖場と2番目鎖場は一服剱前の序盤に出てきます。

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写真は2番目鎖場。まだまだ使う必要もないレベル。
剣山荘から100m程登ると小ピーク、一服剱に到着です。

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前剱を登っていく光の列。
真っ暗で山の形さえよく分かりませんが、とにかく急登なことだけはわかります。
そして立ちはだかるかのように高い…。

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黙々と急なガレ場を上ると、前剱中腹の辺りで3番目鎖場。
ここも、鎖よりは岩をつかんだ方が安定する気がします。

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だんだん明るくなってきました。剱っぽい岩も出てきたし、そろそろ頂上か?

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と思ったら、頂上はもう少し先のお決まりのやつ。

道が危険そうだったら行けるところまで行って日の出を待とうと思ってましたが、この辺りに来た頃には足元もしっかり見えるようになってきました。

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キャンプ場を振り返って。そろそろ別山と同じくらいの標高でしょうか。

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4番目鎖場。

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剱岳が見えてきました。

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長い長い上りも終え、前剱に到着!

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右手には五竜(中央左)と鹿島槍(中央右)。

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そして剱岳はすぐ目の前。高度感のある稜線を歩いていくと…

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怖いと有名な5番目鎖場です。

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幅も十分なのに、こういう橋ってドキドキする…

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書籍でここで無理なら引き返せと書かれていた5番目鎖場。
トラバースですが、足がかりも十分なスペースで大したことありませんでした。
この辺りは、下に下りのコースがあるそうなので、落石させないように慎重に。

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5番目鎖場を渡り切った時、鹿島槍よりご来光!

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6番目鎖場は、20m程下に下ります。
少しずつ鎖場待ちが起こるようになってきました。

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雲海が羊のようにもこもこしてる。

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6番鎖場と7番鎖場間は少々離れており、緩やかに標高を上げていきます。

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7番目鎖場、平蔵の頭。ここで初めて杭の足場が登場。

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上ったと思ったらすぐに20m程、垂直の下り。
ボリュームがあってなかなか楽しい鎖場でした。

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鎖がない箇所の方が緊張するやつ。

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8番目鎖場、平蔵のコル。垂直に上る短い鎖場です。

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そしていよいよ有名な9番目鎖場、カニのたてばい。上りの核心部です。
時刻は6時半。そこそこ登山客で賑わっていますが10分待ち程度でした。

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垂直に近い岩壁。
同じ鎖を持たないように間隔をあけながら、三点支持を心掛けて登ります。
手掛かり、足がかりもしっかりしていて、思ったより安心感がありました。

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中間地点から見下ろしたところ。
高所が苦手なはずだったのに、笑って見下ろせるようになるんだから慣れってすごい。

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中間時点からは、岩場をよじ登り、最後に申し訳程度の鎖場をこなし、稜線まで上がります。
さすが有名なだけあってボリュームのある鎖場でした!

これで上りの鎖場は終わり。後は、100m程ガレ場を上っていくことになります。
鎖場の興奮も落ち着き、ここの登りはひたすら苦行でした…。

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苦しみの果て、いよいよ念願の剱岳山頂に到着です。やったー!

登頂の喜びににやけまくりですが、いかんせん山頂に対し人が多いので、感動に浸ってる場合じゃないのが惜しいところ。
でも、それほど多くの人に剱岳が愛されてるってことでしょうね。

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立山って山の陰影が美しい…。
なんだかものすごく先に室堂(本日のゴール)が見えるのは今は気にしない。

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続々と人が登って来たため渋滞に巻き込まれないように急いで下山開始です。
下ってみると分かる、なかなかな急斜面(ガレ)

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途中、ぶたちゃんみたいな岩。
見えないって言われたけど斜め上を見上げているぶたの横姿に見えると思うんだけどなぁ。

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下りの核心。10番目鎖、カニのよこばいに着きました。
最初の一歩の足がかりが見付かり辛く、たてばいより怖いという噂のよこばい。
最初の一歩に時間が掛かるためか、有名な渋滞ポイントです。

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取りつきまでは垂直に下ります。

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そしてヨコバイへのとりつき。
ぱっと見足の置き場が見えないのですが、のぞき込むと、赤くペイントされたくぼみが見えます。
体を岩の方に向け、右足を伸ばして、くぼみに足を掛けます。
一人で来て足がかりが見付からないと焦りそうですが、仲間もいるので「ここだねー」と全く恐怖を感じることなく通過できました。

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一歩を踏み出せば、高度感はあるものの、足場はしっかりしています。
足先を進行方向でなく、岩場に向けて横歩きする部分では、久々に高所に行った時のゾクッとした感覚がきましたが、鎖自体はあっという間でした。

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自然の芸術。

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鎖の後は、垂直梯子です。
落ちたらアウトですが、もうここまでくると何も感じない。丈夫な梯子なので信用もできる。

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再度鎖場を下ると、岩の影にトイレがありました。
奥は携帯トイレブースですが手前は普通のトイレっぽい?使えるのだろうか?

トイレを越えると一旦、上りの道と合流します。
すると、後方、カニのタテバイから「ラーク!」と大声が。
実際落石が起こることがあるんだなと、ぞわっとしました……。

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お次は11番目鎖場平蔵のコル、12番目鎖場平蔵の頭。
鎖場の写真を撮り忘れてしまいましたが、この写真の中央、せり出した岩盤を登っていきます。
見た目に比べ、意外にすいすい登れた気がします。

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最後の13番目鎖場、前剱の門。
昨日の疲れか、眠気か、風邪か、なんとなくぼーっとするので前剱でしばし休憩。

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前剱から先、待っているのは一服剱までの急な下りです。
ひたすらガレ場でとにかく気を使います。

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前剱を振り返って。よくあんなとこから下山してきたなぁ。
今朝、この光景が見えてたら登るのを躊躇ってたかもしれませんw

2日目劒沢キャンプ場~室堂_171001_0431
やっと剣山荘まで戻ってきました。

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剣山荘前の池には逆さ前剱!(山頂まで写ってないけど‌)

剱澤小屋からは、昨日も泣かされそうになった例の急坂を休み休み上り、午前10時前キャンプ場に戻ってきました。
すでに本日の行動時間は6時間。がっつり昼休憩を取りました。

初日扇沢~劒沢キャンプ場_171001_0603
まだまだ続く山行。
室堂に行くにはキャンプ場を囲む、この稜線を乗り越えなければなりません。
剱御前小舎まで200mちょい。ここまでくると無我の境地で、止まらずにただ黙々と登るのが一番だと思い知らされます。

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振り返るとかっこいい剱岳のお姿。
満足すぎてしばらく来ることはなさそうですが、またいつか…。

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急登を越え、小舎まであと少し。

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途中、レリーフがありました。

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剱御前小舎に到着。
昨日は寒かったのに、今日は風が心地よいぐらいの暑さ。秋って難しいなぁ。

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室堂までは雷鳥坂を下ります。

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雄大な室堂と立山の山々を見下ろすという展望は素晴らしいのですが、一向に雷鳥沢キャンプ場に近づかないので精神的に疲れます。この辺から本格的にバテてました。

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立山の緑と岩の白とが織り成す複雑な模様。

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白く美しいのはいいんだけど、足元がザレてるのは地味に辛い。

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標高も下がり、紅葉の色づきがいい感じになってきました。

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草紅葉。

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やっと長い下りを終え、浄土沢を通過。

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雷鳥沢キャンプ場に到着です。

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雷鳥沢キャンプ場からの眺めは素晴しかった。
もう今日はここで泊まりたい…。

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ここからは遊歩道ですが、最後の地獄と言われるところになります。室堂まで150m、石の階段を含む登り返しです。

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一つ目の階段を登りきると、灰色で硫黄ガスがもくもくした地獄谷。

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風向きによっては遊歩道に硫黄ガスが直撃します。草津白根山以来のガスで噎せるスポット。

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地獄谷のすぐ横には湿原がありました。
室堂散策は色々な景色を見せてくれるのですが、今は感動よりもずっと続く石畳の道に気力を奪われる。

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日本一高所の温泉だというみくりが池温泉。
ここまで来たらあと少し。

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火口湖であるみくりが池。逆さ立山!

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後半はバテバテでしたが、14時半頃、なんとか室堂バスターミナルに戻ってきました。

3時前の臨時バスに乗れて、乗換え待ちはあったものの5時前に扇沢に帰還。
立山と剱の登頂、日曜日中の下山と、二つの目標を無事達成できたのでした。


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憧れてはいましたが、自分にはまだ関係ないと思ってた剱岳。
今年は山仲間に恵まれ、登山歴3年目突入の節目に思いがけないチャンスを得ることができました。

自分の中で剱岳って、うまく言えないですがかなり大きい存在で、登れたことは嬉しいけど、同時に大きな喪失感もあるのでした。こんな感情が湧くなんて、さすが剱岳です。


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とにかく、剱人になれた今日という日と仲間に感謝!





……まぁ、できれば、段階を踏んで槍を先に登りたかったですけどね^^;
もう普通に槍に登っても物足りない気がするので、来年は裏銀に付き合ってもらうとしましょう(笑)

屋久島から始め、登山3年目に突入。
これで情熱を失わず、これからも山登りを続けていきたいと思います!